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わかりやすい「年齢を問わず掛金が一律」共済がお得な人、お得でない人

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共済には、「年齢を問わず掛金が一律」という商品があります。
これはどういうことなのか、考えてみたいと思います。


目次


「年齢を問わず掛金が一律」の共済

「年齢を問わず掛金が一律」の共済には、具体的にはどんな商品があるのでしょうか。
掛金一律の年齢の範囲も少し異なるので、合わせて表にまとめます。

共済団体 共済名 掛金一律の範囲
全労済 こくみん共済 59歳まで
都道府県民共済 総合保障型、入院保障型 64歳まで
コープ共済 たすけあい 64歳まで

これらの共済は、ある年齢までは、年齢(性別も)問わず掛け金が一律となっています。
また、どの共済も死亡から入院、手術と保障の範囲が広いことも共通しています。

掛金はいずれも月1000円〜4000円程度、もっとも基本的なものは2000円程度と手頃です。
わかりやすいですね。

わかりやすいのはよいのですが、この「年齢を問わず掛金が一律」の仕組み、保険の仕組みからすると不思議なことです。

なお、掛金は、生命保険では保険料と言います。
共済と生命保険の仕組みは同じですので、ここからの話は共済にも生命保険にもあてはまります。
ただ、いちいち共済と生命保険両方の名前を書くと読みにくいですから、これ以下は全て掛金とだけ書きます。
その他、共済と生命保険の用語の対応を以下に載せます。詳しくは、共済とは?共済と保険の違いを解説 - わかるえらべる生命保険をご覧下さい。

保険 共済 意味
保険料 掛金 保険や共済に加入するために契約者が支払うお金
保険金 共済金 万一のとき(事故など)がおきた時に受取人が受け取るお金
契約者 契約者 保険や共済の契約者
被保険者 被共済者 保険や共済で、この人に病気や事故があるとお金が出る、その人
配当 割戻金 剰余金を加入者に払い戻すお金

「年齢を問わず掛金が一律」の不思議

「年齢を問わず掛金が一律」の何が不思議なのか、見ていきましょう。
そもそものところから話を始めるのでちょっと長くなりますが、お付き合いください。

「年齢を問わず掛金が一律」共済、と呼ぶのは長すぎるので、掛金一律共済と呼ぶことにします。

「掛金=将来の入院確率×期待入院日数×入院日額」が基本

掛金一律共済はどれも、死亡から入院手術まで、総合的に保障しています。
沢山あると大変なので、ここでは入院に絞って話をします。

まず、掛金の仕組みについて「掛金=将来の入院確率×期待入院日数×入院日額」が基本です。

例をあげます。
一太郎(いちたろう)さんは、今年病気なりケガなりで入院する確率は5%だとします。
仮に入院した場合、10日間入院すると予想されるとします。
そこで、共済(保険でも同じです)に加入するのですが、その共済の入院日額(入院したときに入院1日あたり受け取れるお金)は1万円とします。

すると、年間の掛金は、以下のようになります。
年間の掛金=5%×10日間×1万円=5000円
どの共済も、掛金は毎月支払うことになっていますので、これを月額に直します。
5000÷12ヶ月=417円

この場合の掛金はこうなります。
このほかに、

  • 亡くなった場合にもらえる共済金、保険金
  • 手術の場合にもらえる共済金、給付金
  • 障がいを負った場合にもらえる障がい共済金、いま給付金

など、いろいろな共済金や給付金に対して同じような計算をすることになります。

それ以外に、

  • 共済団体や保険会社の運営や新規加入者の獲得に必要な費用分

も足し合わせます。

掛け金は年齢によって違うのが普通

つまり、入院保障で言えば、加入者*1の入院しやすさ、病気へのかかりやすさが掛金を決める上で決定的に重要ということです。

さて、病気へのかかりやすさは人によって違いますが、何によって違うのでしょうか。
1番に思いつくのは、年齢です。

ちょっと考えるだけでも、20歳の人と60歳の人では、病気へのかかりやすさはだいぶ違いますね。
病気へのかかりやすさだけではなく、亡くなる確率もだいぶ違うでしょう。
とすると、掛金は加入者の年齢によって異なるのが自然ということになります。

どのくらい病気になったり亡くなったりする確率が違うか、ちょっと思考実験してみましょう。

1クラス40人の同窓会を考えてみる

急に学校の話。
1クラスで40人のクラスを想像します。

さて、あなたはハタチ。同窓会をしました。みんな元気です。
今いる40人の同窓生のうち、何人がこの1年で入院するでしょうか。

もちろん直感的にですが、ゼロとか、せいぜい1人くらいでしょうか。
間をとって0.5人ということにしておきます。

今後1年間の入院確率は、0.5/40=1.25%となりました。

では次に。
あなたは60歳。同窓会をしました。みんな元気です。
今いる40人の同窓生のうち、何人がこの1年で入院するでしょうか。

1人くらい入院してもおかしくないでしょう。2人もありえる感じがします。
平均1.5人ということにしておきます。

今後1年間の入院確率は、1.5/40=3.75%となりました。

この思考実験では、20歳と60歳の人で入院確率が3倍違いました。
ここからすると、掛け金は2〜3倍くらい違っても良いということになります。

本当は入院統計を調べないといけないので、入院確率の実際のところはそういう例だということでご理解ください。
具体的にどのくらい違うのかについては、細かくなるので別の記事にしたいと思います。

「年齢を問わず掛金が一律」なので起きていること

「年齢を問わず掛金が一律」であることで、何が起きているのでしょうか。
簡単に言えば、高齢の加入者にとって割安で、若い加入者にとっては割高な掛け金になっているということです。

若い方は、共済金を受け取る場面は、高齢の方に比べて少ないでしょう。
一方で、高齢の方は共済金を受け取る可能性は高いです。
しかし掛け金は同じ。

掛け金が「年齢を問わず掛金が一律」ことで、わかりやすい代わりに、若い人に損で高齢の人に得という状態になっていることになります。

共済には割戻しがあるから給付金が少なかったら戻ってくるのでは?

共済には、払い込んだ掛金のうちの一部割戻金として戻る、割戻し制度があります。
共済やその年によっても違いますが、今回話題の掛金一律共済については割戻率は2割前後の場合が多いです。
つまり実質的な掛金は払い込む掛金の8割くらいになります。

これはその年に加入者が受け取った共済金が少なければ、掛金が余った分を加入者に戻すということなのですが、割戻率も年齢問わず一律なので、割戻しを含めてもやはり「年齢を問わず掛金が一律」の掛金になっています。

やはり、若い人には損な仕組みなのです。

このことを理解すると、掛け金一律共済には、加入がおすすめの人とおすすめでない人が出てくることがわかってきます。

掛金一律共済がお得な人、お得でない人

ズバリ以下の通りです。
年配の方→掛金が割安でおすすめ
若い方→掛金が割高…

これだけです。
「年配」は何歳くらいからなのか、それは数字を詳しく見ていかないといけませんので、別の記事に回します。
まずは掛金の仕組みと大まかな結論だけ押さえることにしましょう。

*1:正確には被共済者。この人が病気などになったときにお金を受け取れる、という人。