最近不妊治療保険が発売され始めてきました。
不妊治療保険についての本がありましたので書き留めておきます。
読み手を誰と置いているかよくわかりませんでしたが、読んでみると保険業界人向けであると思われました。
第1章で妊娠と不妊のメカニズムと不妊治療の種類、第2章で不妊治療の受療者数などの統計が示されています。
体外受精による出生児は、2012年で約38000人ということで、子供の27人に1人が体外受精により誕生した子となっているとのことです。
思っていたより多いです。
元データは以下のサイトにあります。
ARTデータ集
第3章で不妊治療への公的民的な支援体制が書かれています。
第4章に金融審議会ワーキンググループ報告書と留意点、第5章に民間保険会社の取り組みがありますが、この部分が非常に具体的で、保険会社で商品開発をする人、特にアクチュアリーには参考になると思われます。
ただ、それ以外の人にとってはワーキンググループや民間会社の取り組み(取り組みと言いながら保険設計時の留意点を羅列したものになっています)はほとんど興味がないと思われます。
本のタイトルに「みんなに知ってほしい」とありますが、一般の人はもちろん、不妊治療を行いたい、行なっている人にとっても、より参考になる本があるように思います。
やはり保険関係者向けの本です。
特に第5章は保険設計の留意点ですが、
- 給付事由の設定
- 逆選択・モラルリスクへの対応
- 発生率の設定
- 契約項目の具体設計
- 給付の設計
- 実務面の検討
など、アクチュアリーの二次試験の所見を見ているようです。
論点を挙げているに留まり、優劣をつけないところも二次試験の解答に似ています。
アクチュアリー試験で不妊治療保険の所見対策をしたい人にはいいかもしれません。
あとは実際に商品開発をする方ですね。