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【レビュー】アクチュアリーによる統計の本『すべては統計にまかせなさい』

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すべては統計にまかせなさい

すべては統計にまかせなさい

アクチュアリーの方が書いた統計の本である。
対象読者は一般の学生や社会人(前書き)とされていて、統計の威力が大きくや応用範囲が広いことを示唆するタイトルになっている。

ただ、アクチュアリーが書いているのである意味当たり前ではあるのだが、保険や年金に寄った記載が多い。
アクチュアリーに関する記載も多く、一般の学生や社会人というよりは、アクチュアリー志望の学生や統計や保険に強い興味のある社会人向けといった印象を受けた。
あとがきにはアクチュアリーになった人への言葉が添えられている。

統計手法は広い範囲について言及されていて、以下について触れられている。

  • ポアソン分布
  • 正規分布(six sigma)
  • 極値理論
  • 破産理論
  • モンテカルロシミュレーション
  • トレンド分析
  • ミニマムバイアス法
  • 一般化線形モデル
  • 信頼性理論
  • ベイズ統計
  • 線形相関
  • 順位相関(ケンドールのタウ)

ただし、いずれも数式は使用せず数値例あるいはほとんど説明を省いているため、具体的にそれぞれを知りたい場合には専門書を当たる必要がある。
おおまかな手法の意味合いや使い方がわかるためイメージを掴むにはちょうど良いと思われる。

期待値やボラティリティの説明では数値やエクセル関数を使用してわかりやすい説明になっている。
自分で実際に数値を作ってみることも可能である。

本の中で、ビュールマンの講演が取り上げられている。
アクチュアリーについてとても重要な言葉があったので引用しておく。

私たちアクチュアリーは、専門職として、保険・年金に付随したリスクの不確実性のすべての側面を処理できるものであると理解しなければなりません。
このような理解のもとにおける広い意味でのアクチュアリーの役割はもちろん一人の個人の力では、達成することはできません。しかし、私たちはそれをアクチュアリーという職業人全体としては達成できます。
(太字筆者)

アクチュアリーといえば生命保険、年金、損害保険の専門家だが、それらのリスクの「すべての側面を処理できるもの」と捉えていることに感心したところ。
ものすごい責任感である。