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先進医療特約は必要?単品はある?4つのポイント

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先進医療について、その必要性と、今現在の加入状況別の先進医療加入方法をまとめました。
長いので、まず結論を見たい方はまとめに飛んでください。


目次


先進医療保険とは

先進医療保険とは、先進医療に該当する治療を受けた時に、かかった費用に相当する給付金を受け取れる保険です。
一般的な医療保険は入院したら1日あたり5000円、手術したらその10倍や20倍、という定額の給付金ですが、それとは異なり、治療にかかった費用を給付金として受け取れる保険となっています。

先進医療とは

先進医療とは、厚生労働省が定める、保険診療との併用が認められた保険外の医療です。
2018/9/1現在、93種の先進医療が認められています。*1
保険診療との併用が認められているということで、先進医療に係る費用は全額患者が負担しますが、その他の通常の治療は、健康保険制度における一部負担金を負担するにとどまります。

それに対して、先進医療ではない保険外診療は、通常の保険診療と併用できません。
仮に併用した場合(混合診療)、全体として自由診療と扱われ、全て健康保険対象外となり、治療費用は全額患者が負担することとなります。

この点が、先進医療と単なる保険外診療との違いです。

先進医療でかかる費用

先進医療は全額自己負担ですから、その治療費はとても重要です。

先進医療はたくさんの種類があるわけですが、その中で厚生労働省にて公開されている平成29年度の実績*2のうち、件数の大きいものから4つ記載します。

技術名 年間実施件数(件) 1件あたりの 先進医療費用 (円)
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 14,433 581,224
前眼部三次元画像解析 11,595 3,484
陽子線治療 2,319 2,765,086
重粒子線治療 1,558 3,149,172
その他 1,988 172,144
全体 31,893 629,921


(厚生労働省データより筆者作成)

「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は、白内障の治療技術です。
「陽子線治療」「重粒子線治療」は、がんの治療に使われる技術です。

治療費を見ると、上は重粒子線の300万円オーバーから、下は3500円の前眼部三次元画像解析まで差が大きいです。
ただ、全体の36%が前眼部三次元画像解析の3500円、45%が多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術で58万円、陽子線と重粒子線はそれぞれ7%、5%ですから、先進医療といっても100万円未満の治療がほとんどで、300万円かかるような治療は1割程度ということもわかります。

先進医療保険は必要?

ズバリ先進医療保険は加入がおすすめです。

理由は、以下の通りです。

  1. 先進医療は、技術によるが治療費が高額になる場合がある。
  2. 医療制度や技術に依存する面が大きく、将来の先進医療の状況は読めない。
  3. 先進医療保険の保険料は少額である。

一つずつ見ていきます。

①先進医療は、技術によるが治療費が高額になる場合がある

上で先進医療の費用の表の通り、少額の治療費の件数が多い一方で、重粒子線と陽子線治療は高額になります。
200万円を超える治療費になると、かなりの負担です。
先進医療保険はかかった費用に相当する額を給付金として受け取れますから、この負担はほぼゼロになります。
負担の大きいイベントに対して保険を使う、という保険の威力がよく発揮される商品です。

もしこの保険の加入の有無で治療方法の選択肢が変わるとしたら、本当に大きい効果です。

②医療制度や技術に依存する面が大きく、将来の先進医療の状況は読めない

最初に書いた通り、先進医療は、国の制度です。
そのため、先進医療対象となる治療は毎年変わっていきます。
今高額な先進医療が、保険診療の範囲に入ったり先進医療から単に外れたりして、先進医療の対象外となる可能性はあります。
しかし同時に、有効性の期待される、しかし保険診療にできるほど証明されていない、新たな高額診療が先進医療に追加されるかもしれません。

今も治療を受ける患者さんにとっては重要な先進医療ですが、まだお世話になっていない我々にとってもより先進医療の重要性が高くなっている可能性もあるのです。

もし逆に先進医療が重要でなくなったら?先進医療保険の意味がなくなったら?

そのときは解約すれば良いのです。

③先進医療保険の保険料は一般的に少額である

時に高額な給付金となる先進医療ですが、保険料はほとんどの場合少額です。
例として、チューリッヒ生命の先進医療保険特約で見てみます。*3
見積りしやすいため選んでいますが、ここでは特段チューリッヒ生命をオススメする意図はありません。

入院日額は5000円、年齢は30歳としています。
その他の細かい条件は記載を省いています。
ほとんどの先進医療保険は特約です。
特約だけの保険料は試算できませんので、先進医療特約ありとなしの保険料の差を先進医療特約の保険料を考えます。

保険種類 先進医療特約 保険料月額(円)
終身医療保険 あり 1,682
終身医療保険 なし 1,550
先進医療特約のみ - 132

先進医療特約の保険料は、差し引きで132円となりました。
保障される最大の額である300万円(累積の限度額は2000万円など)と比べ、非常に安い保険料です。
1か月でペットボトル1本分以下です。
保障額に対して保険料が安いのは、先進医療、特に高額な先進医療が行われる確率が低いからです。

確率は低いとは言え、がんになった場合は陽子線や重粒子線治療は頭をよぎるでしょう。
この程度の負担で先進医療に対して備えられるので、先進医療保険は効果の高い保険と言えるでしょう。

先進医療保険の比較ポイント

では、先進医療保険の比較ポイントを掘り下げていきます。

(1)限度額はどのくらい?

限度額2000万円という会社が多いと思います。
入院日額などと違い、選ぶことはできませんし、既に十分な額なので、選ぶ必要もありません。
1000万円など、異なる金額の場合もあるかもしれませんが、先進医療の治療費は高くて300万円、それを何度も受けることは考えにくいですから、500万円以上あれば十分です。

(2)特約か?単品か?

基本的には特約です。
ただし、以下の方は単品を選択してください。

  • 医療保険がん保険はいらないが、先進医療にだけ備えたい
  • 現在加入している医療保険には先進医療特約をつけられず、また健康上の理由などにより医療保険を乗り換えることができない。

特約がよい理由は単純で、保険料が割安だからです。

この前で触れたように、先進医療保険はほとんどが特約の形で販売されています。
しかし、主契約の形で、つまり先進医療単独で加入できる保険会社もあります。
ズバリ、損保ジャパンひまわり生命のリンククロスコインズです。
リンククロス コインズ | 先進医療と臓器移植に特化した保険
現在のところ、単品で加入できる先進医療保険は、これ以外はないと思います。

しかし、単品商品には1つデメリットがあります。
それは、保険料が割高なことです。

比較してみればわかります。
先進医療保険単品商品のリンククロスコインズの保険料は、月額500円です(2018/09/28時点)。
対して、チューリッヒ生命の先進医療特約の保険料は、月額132円でした。
もう1社、アクサダイレクト生命の先進医療特約(終身医療に付帯するもの)の保険料は月額120円でした(これも特約をつけた場合とつけない場合との差額です)。
保障内容が異なると単純に比べられませんので、保障内容も並べてみます。

商品 リンククロスコインズ(単品) チューリッヒ終身保険(特約) アクサダイレクト終身保険(特約)
限度額 2000万円 2000万円 2000万円
先進医療一時金 10万円or5万円 15万円限度 10万円
その他 臓器移植給付金1000万円 - -
保険期間 1年 終身 終身
保険料(月額、円) 500 132 120

臓器移植給付金があるため単純に比較できませんが、先進医療に備えたいというニーズが主であると考え、ここでは深入りしません。

並べると、特約形式がかなり安く設定されています。
この保険料を踏まえると、何か主となる医療保険やがん保険に先進医療特約を付加するほうが割安に先進医療保障を確保できることになります。

ただし、最初に書いた通り、通常の医療保険やがん保険は加入したくない場合や、現在加入している医療保険やがん保険に先進医療特約を付加できず、かつ健康上の理由などにより別の医療保険に乗り換えできない場合は、単品の先進医療保険を検討するのがよいでしょう。

通常の保険診療は健康保険の対象ですから、なかなか高額にはなりません。
また仮に高額になっても、高額療養費制度があるために、月当たりの負担額には10万円程度の上限があります。
先進医療にはこういった恩恵がありませんから、その部分だけ手当をしたいということです。
この考えはある程度理解できます。

先進医療単品は、特約に比べると割高ですが、加入する価値はありますので、そのあたりを理解した上で加入するのはなんら問題なく、良い選択です。

(3)保険期間は更新型(定期型)か?終身型か?

どちらかといえば終身型がよいでしょう。
ただし、メインとなる主契約として医療保険やがん保険が決まっている場合選択肢はないかもしれません。その場合はこだわる必要はありません。

理由は、終身型のほうが将来保険料が上がる心配がないからです。

「(1)特約か?単品か?」の中で比較した通り、終身型だからといって保険料が高いわけではありません。
先進医療は、国の制度であり、先進医療対象となる治療は年々変わっていきます。
つまり、先進医療でかかる治療費も、先進医療の治療を受ける確率も、国の医療制度に左右されることになり、更新型の場合、将来先進医療特約の保険料が大きく上がってしまう可能性があります。

その点、終身型であれば今の保険料で将来も固定されますから、保険料が想像以上に上がる心配はありません。

(4)給付金の対象となる病気は?

病気を限定しない先進医療特約のほうをお勧めします。
ただしメインとなる主契約ががん保険の場合、がん治療を対象とする先進医療特約でも十分でしょう。

現在の状況ではがん治療を対象とする先進医療で十分、という理由は、結局のところ、高額な治療のかかる先進医療は、がん治療がほとんどだからです。
重粒子線、陽子線治療が代表的ですが、これらはいずれもがん治療です。
その他の病気の治療にも先進医療は使われますが、上記2つの治療に比べれば高額ではありません。
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術の58万円は少額とも言えませんが、比較すればそう高くはない水準です。

ただし、先進医療制度の対象技術は今後も入れ替わります。
がん以外でも高額な治療費となる技術が出てくるかもしれません。
その観点からすると、病気を限定しない先進医療の方がよいと考えられます。
病気を限定しない場合でも、がんに限定する場合でも、先進医療特約の保険料はそう変わりません。

チューリッヒ生命での試算によれば、病気を限定しない先進医療特約の保険料132円に対し、がん先進医療特約の保険料は129円です(30歳男性、入院日額5000円)。

保険種類 先進医療特約 保険料月額(円)
終身がん治療保険 あり 1,994
終身がん治療保険 なし 1,865
先進医療特約のみ - 129

保険料はほとんど変わりませんので、病気を限定しない先進医療がよいでしょう。
ただし、主契約ががん保険と決まっている場合は、自然とがんのみの先進医療特約となります。
現状の費用がかかる治療はおさえられていますから、わざわざ他の保険を検討する必要はなく、がん先進医療特約に加入することで問題ないでしょう。

まとめ

先進医療には、高額な治療と少額の治療がある。
高額な治療は先進医療の中でも数は13%と多くないが、300万円程度の負担となる。

先進医療保険は少額の保険料で大きな負担に備えられるため、有効な保険。

特約がほとんどだが、単品で入れるものもある。

加入のおすすめは、以下の通り。
現在既に医療保険に加入しているかどうかで分かれる。

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現在既に医療保険またはがん保険に加入している場合

先進医療特約を付加できる? 乗り換えできる? おすすめ
できる - 先進医療特約を付加する
できない できる 先進医療特約の付加できる医療保険に乗り換える
できない できない 単品の先進医療保険を検討する

現在全く医療保険またはがん保険に加入していない場合

医療保険に加入したい? おすすめ
医療保険に加入したい 先進医療特約付き医療保険に加入する
がん保険に加入したい がん先進医療特約付きがん保険に加入する
加入したくない 単品の先進医療保険を検討する

医療保険はいろいろな特約がある場合が多いですが、先進医療特約は最も効果の高い保険の一つです。
前向きに検討しましょう。